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土のものがたり(第8話)~ 天空の音色 [土ものがたり]

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あれから

もっともっと時間がたった。


ケヤキの大樹も

なくなっていた。




私の姿もなくなっていた。


私がどんな姿をしていたかも

忘れてしまった。



土だったのか

水だったのか

火だったのかさえ



もう忘れてしまった。



でも

たしかにわかることがある。



いま

私がいるってこと。



いま

ここに

なんだかものすごく温かい

ものすごくなつかしい

言葉でどういえばいいんだろう


嬉しくて

切なくて

涙が止まらない音色が飛び交っている。



私もその音色の中にいて

一緒に飛び交っている。



私は土でもない

形あるものでもない。



私は音色。



懐かしい音色たちに囲まれて

懐かしい光に抱きしめられて



いま

こうしている。

そう


わたしはいま

いるんだ。



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