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土のものがたり(第7話)~風の記憶 [土ものがたり]

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オカリナぽーるです。

前回の連載も終わりに近づいてきました。


第7話です。

^^^^^^



私はその少年の手の中で

いろんな音を奏でた。


楽しい音

おもしろい音

明るい音

悲しい音

つらい音

勇気の出る音

落ち着く音・・・・




また何年も年月が流れた。


その少年もおじいさんになって

旅立って行った。



私の中に

何人の少年の

何人の少女の息が吹き込まれ

風のかなたに音を届けたのか



もう覚えていない。



小さなケヤキの苗木が

いつしか

太く、高くなっていて、

そびえたつ大木になっていた。




いまも

風が吹いている。


どこから吹いてくるのかわからない。

どこへ吹いていくのかわからない。


きっと風は

どんな音も

どんな音色も

おぼえていて


どこからか、吹いてきて


どこかへ、音色を届けにいくんだ。





でも

そのことを

私ははじめから知っていたような気がする。

土くれだった

はじめから…・





そうなんだ・・・・




風が音を運んでいく、行先は、


それは


ふるさと。




すべてのたましいのふるさと。


土も

木も

火も

水も

風も

星も




何もかも帰っていく


すべてのふるさとに、



みんなが

私を吹いて

私から出してくれた音がある。



風はそれをおぼえている。





きっと


そこからやってきて

そこへ帰っていくんだ。



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