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土のものがたり(第6話)~再生 [土ものがたり]

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オカリナぽーるです

きのうの創作物語の続きです。


****




あれから何年たっただろう・・・・



どう言う順序で

どんな人の手に移って

この店にあるのか


私にはわからなかった。




ずいぶん長い間

この店の棚に飾られていたような気がする。



何十年

音を出していなかったんだろう・・・・



でもある日


この店を訪れた


また一人の少年が




私の歌口から息を吹き込んだ。



「懐かしい音がする」



なぜなつかしいのかわからないけど


少年の目から涙が流れた。



「どこかで会ったような音がする」



なにか


少年のたましいの記憶に触れたような音色


でもそれが何か

少年にはわからなかった。




私は

その少年と出会った。



少年は

私のなかに命を吹き入れて

音を奏でる。




いまわたしは

この少年と一緒にいる。


今 この少年の手の中にあって

息を吹き込んでもらっている。




私の中から鳴る音が

いったいどこからくる音かわからない。


でも

わからなくても涙を誘う

懐かしい音。




そうか、

こうして鳴るこの音が

私のふるさとの音なのか。



私はこの故郷からやってきて、

いつもこの故郷に帰っているのか。


そして私を吹く人の魂を

私のふるさとに案内しているのかと・・・


気がついた。



少しのことだけれども、


気がついた。



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