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土のものがたり(第5話)~わかれ [土ものがたり]

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オカリナぽーるです

前回の創作物語の続きです。


****


わたしは

雨の時も

晴れの時も

少年といっしょだった。



暑い夏も

寒い冬も

少年といっしょだった。


何年も

何年も


一緒だった。




私は少年の一部で

少年もまた

私の一部だった。



うれしいとき

一緒に笑って



悲しい時

一緒に泣いた。







そして


何年も年が過ぎた。





少年はすっかりお爺さんになった。





おじいさんになった少年は

私に息を吹き込んで

音を鳴らした。



その音を聞きながら

少年は言った。

「ありがとう」




そして

もう息も細くなってきた少年は

「僕のふるさとに帰ります」と最後に言った。

やがて少年は動かなくなった。


でも

私の中に

少年の息が

いのちになって溶け込んだ。


私は

さようならと言わなかった。



どんな形になっても

私たちはいつも一緒だから・・・・



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